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 「愛・地球博覧」視察報告

2005.07.27 up



「愛・地球博覧」視察報告

                     財団法人 高知県産業振興センター
                     プロジエクト・マネージャー 鈴木朝夫

実施日:平成17年6月23日(木)〜6月25日(土)

内 容:
    「愛・地球博」、循環型社会を目指す万博会場の取組みにも注目して、
    会員希望者とともに、2会場を1日半かけての見学ツアーを実施しました。
    多くの方から視察報告をいただきましたが、ここでは鈴木先生よりの報告を
    3ページに分けて公開させていただきます。


(1)となりのトトロ、前もって見ておけば・・・

 会場では、人気のないパビリオンを選び、列に並ばないでも済むような簡単な 食事にし、疲れたら日陰で寝転び、愛・地球博と名前を付けた万博の雰囲気を感 じて帰ればそれで良いと思って出発した。しかし、後悔が残る旅行だった。

 不思議なことに、800人/日、24,000人/月しか入場できない「サツキとメイ の家」の予約券が当たった。確率4%ほどと聞かされた。「見る楽しみ、感じる 楽しみ、昭和の暮らしをのぞいてみよう!」とあり、「となりのトトロ」の主人 公、サツキとメイが住む家が見事に再現されている。私が大学を卒業した年が昭 和30年である。

 父親の転勤が多かった子供時代であるが、どこの地域に行ってもこのような家 に住んだ。上がり湯のある鉄鍋のような風呂場、土間に”流し”や”かまど”の ある台所、茶箪笥やちゃぶ台のある4畳半の茶の間、景色が歪んで見える凹凸の 多いガラス戸、ダイアルが選局・音量・再生の3つだけのラジオ、家具や調度品 も生活用品も当時のままであり、自由に開けて触ってみて下さいと案内がある。 それらの引出しや棚や押し入れを開ければ、懐かしさが溢れ出てくるようであ る。朝夕に長い廊下の雨戸を繰ること、手押しポンプで水をくみあげること、薪 で風呂を沸かすことなどが私の日課だった。

 ここで、ラジオの「再生」ダイヤルの説明をしなければならないだろう。選局 をした後に更に感度を最高にするためのダイアルであり、敏感にすればたちまち 「ピー」と発振してしまう代物である。冷蔵庫、洗濯機、掃除機、テレビ、電子 レンジ(オーブン)は勿論ない。エアコンではなく、扇風機である。夏の夜は、 廊下のガラス戸を開け放ち、風通しを良くし、庭に打ち水をして涼んだものであ る。 しかし、「このような省エネ型の家に住みたいですか」と聞かれれば返答に 困る。トトロが出入りするような、自然環境に恵まれたこの時代の、郷愁を誘う この家の素晴らしさは充分に理解できるが、だからこそナメクジが、ごきぶり が、ネズミが出て来るに違いないと思うと素直に答えることが出来ない。

 ところで、「となりのトトロ」の内容をはっきりと覚えていない。帰ってから、 DVDを早速に借りてきた。見過ごしていた展示物の意味が甦ってくる。壁ぎわに 置いてあった自転車は、サツキとメイとお父さんの三人乗りで、急を告げに行く カンタの三角乗りで使われる。手押しポンプは川から汲んだ水を呼び水にしてサ ツキが動かしている。押し入れの蚊帳も小道具の一つだった。庭を走っていくト トロを蚊帳の中のメイが廊下越しに見るシーンがある。お父さんもサツキもそれ を信じるのが面白い。

 帰ってからのDVDの鑑賞は、エアコンの効いた部屋でのプラズマテレビである。 インターネット検索で「となりのトトロ」や「サツキとメイの家」の情報は直ち に手に入れることが出来る。今はこんな便利な世の中である。昭和30年代に住む ことはもはや出来なくなっている。となりにトトロが住むような場所はなくなっ ている。(鈴木朝夫)


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